─中庭/硝子戸の廊下─
[宵闇の宴は静かに幕を上げている。
足を進める中、見知った紅色の一輪の花>>54>>55を見つけられたのなら、寸時の間見咎めて。
もうすっかり覚えてしまった、漂う紫煙のにおいには、顔を歪める彼とは裏腹に常通りの面持ちで構えて。]
…貴方達からしたら、珍しい響きを持ったもの……なのでしょうか。
[名について触れられたのなら、やんわりと返して。
つま先から辿られる視線には、少しばかり居心地が悪そうに瞳を泳がせつつ、言葉を濁そうとにっこり。
果たして彼に通じたのやら。それは分からぬところであり。]
…ぺ、…ペティンガー…様。
[咳払いを一つして告げられた蝶の名を。
常はあまり使わぬ横文字に拙くも名を紡ごうと唇動かしては、呟きを。
名乗られる際に勿体付けられたことには気付かず、馴染みのない音を数度小さく繰り返すように、彼の名を何度か呟きを落として。]
(129) 2014/09/13(Sat) 02時頃