大変な失礼を致しました。
[そういって僕は、夜を遊び歩く『蝶』から身を離しました。
彼は気付いているでしょうか?
僕が名を知る『蝶』の中、唯一彼の名は呼ばないと謂うことを。
苦手、と謂う一言で片付けるのとはまた違う。
けれど僕は確実に、彼をとても、苦手に思っておりました。
もう一人の『蝶』の顔からは、笑みも消え失せておりました>>120
それを見れば眉を下げ、申し訳御座いませんと頭を下げたことでしょう。
彼も幾度、此処へ訪れる『蝶』では在りましたが
いつも共にいらっしゃる御方しか、一夜を過ごしたことは無かったように記憶しています。]
あなたさまを眠らせてくれる『花』に
出逢えるとよろしいですね。
[申し訳なさそうに眉を下げていた顔もこの時ばかりは
漸く、作り笑いではない笑みを向けたのでございます。]
(127) 2014/09/13(Sat) 01時半頃