ま、俺が飲みたいから、ついでにな。
景子がいたら、また淹れてもらったんだが……、
[たまこに頷いて、一度、キッチンへ。
インスタントの味ではなかったから、どこかに道具があるはずだ。
薬缶を火にかけたあと、豆やドリップペーパーを探し出し。
沸いた湯をカップに注いで、温めて。ペーパーに一匙の粉に、ほんの少し湯を注いで蒸らす。
三十秒ほど待ったところで、円を描くようにしながら、コーヒー粉の土手を崩さないように注意して湯を注ぐ。
そうして、抽出液が最後までカップに落ちきる前に、ドリッパを外す。これで完了。
一人暮らしが長いと、無駄に手際が良くなってしまうものである。まあ、忙しいときはインスタントで済ませるが]
――はいよ。
砂糖とミルク遣うなら、さっき景子が出してたから、その辺にあると思う。
[たまこにコーヒーを出して、自分も二杯目をすする。
そのあいだ、カルメ焼きが大量生産されれば、一つくらいは摘んだだろう]
(120) 2012/08/09(Thu) 17時頃