――や、八つ当たり?
[何だそれ、あんまりじゃないか。あんまり過ぎて、笑ってしまいたくなる]
……残念だったな、私はあんたの玩具になるつもりは無い。
そういう役は、もっと相応しい奴が居るだろうよ。
[ざまあみろ、と。吐き出す様に言って、鼻を鳴らす。
瞬き細められた目を、いつまでも見ている事は出来ずに、すぐに視線は逸らしてしまったが。
逸らした視線の先、包帯の巻かれた自身の掌を見れば、思わずそれをぎゅうと握った。
先程までは、彼も確かに医師として接してきていた筈だ。
"医者としての彼"に抱いていた信頼の様な淡い感情は、既に無くなっていた。
彼に見せた弱い部分は、きっと……相手が彼だから見せたものだったのに。勝手に裏切られた様な気持ちに陥りながら、掌をいっそう握り込む。そこには未だ医師としての彼が居る様で、酷く忌々しく感じられたから]
(115) 2014/06/28(Sat) 20時頃