―― ホール ――
……、先客だ。
[昨夜そこにおきはなしていた東洋の魔物、炬燵。ユージーン、年若い彼が、足を引き抜くのに多少苦労していた様子を見ていたので。その恐ろしいほどの吸引力が、吸血鬼を捕らえて離さない罠となってしまうまえに。有り体に言えば、寝落ちて朝日に晒されるものがいやしないか、今更思いもして、ホールに足を運んだのだ。]
[そこにいた先客>>92はささやかな茶会の用意すらした上で微睡みにあったので、ジェレミは、空を歩く――とは表現幅の範囲と理解いただきたい――のと同じ要領で、中空に腰掛ける仕草をし、そのまま肩肘をついてベッキーを眺めることとした。寝台にいまだある、多少の息を続かせている「彼女」を眺めるのと同じように、眺め、
「おはよう、ベッキー」と、笑み色を含んだ声音の挨拶を、向けるタイミングを待つこととした**]
(115) 2018/11/08(Thu) 08時頃