[ジーザス、ジーザス!
大事だから二回言うわ!
毎日同じ時間にこの家>>52>>53に配達をする。コンマ数秒狂わないタイミングで香るコーヒー、匂いも同んなじ。
家の形をしながら時を知らせてくれるこの箱を、…は勝手に「時計の家」なんて呼んでいた。
同じ時間に此処へ来る限り出会うことはないと思っていた。ましてや、鳩ではなく人が出てくるなんて想像し得る訳がない。]
あらぁ…あら、あら、御機嫌よう旦那様。
[意図せず、声が震える。
無理やり貼り付けた笑顔に頬が引きつりそうだ。
キッチリ着込んだ白いシャツ。頭のてっぺんから爪先まで隙がない格好は人形の兵隊を思わせて、こちらまで背筋が伸びる。
おもむろにポストへと伸ばされる男の手中に収まるのはハリボテのサボテン(我ながら力作)。
…は言い訳の仕様がない質問に「えっと、その」と視線の終着点を見失う。
ふと、目を丸くしたのは相手の悪戯そうな顔が見えたから。
軍手をしている手で手紙が入った箱を握る手に力を入れる。
––––––自分に非があると言えど、面白がられていると分かっていて、素直に答えるほど従順には出来ていないのだ。だから、つい]
(114) 2014/10/01(Wed) 18時半頃