― 回想:前夜 ―[幼友達の手にあるランタンが田舎道を照らす。仄かな明かりだけれど二人で帰るには十分なもの。一人なら明かり無しで帰ろうとしていた娘には隣にある存在が心強くあった。家に着けばテッドの声に祖母が玄関まで出て二人を迎える。大きくなったとか、頼もしくなったとか、仕事はしっかりやっているのかい、とか。そんな事を尋ねる祖母の顔は何処かたのしそうだった。村の若人が大人になり村の担い手となる事が嬉しいのだろう。帰ると言い出したテッドに、遅いから泊まっていけば良い、と祖母は言うのだけれど孫娘の方は驚いてきょとんとしていた。辛うじて手を振り送ってくれた幼友達を見送って祖母とその孫娘は二人きりの晩餐の後、慎ましい祈りを捧げてから眠りにつくのだった]― 回想・了 ―
(113) 2010/07/29(Thu) 15時頃
sol・la
ななころび
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