…ゆ、…め。
[まるで何か言い聞かせている様だと、ごちた言葉は自身に届かず。
ただ胸中に刺さる痛みを何として吐き出そうかと、眉を下げては、情けなくも震えを帯びる黒衣の手にて口元を抑え。
――嗚呼、宴の夢に溺れていたのは、蜜に翅を奪われたのは、自分だったのだろうか、
困惑か。憤怒か。はたまた、ただの嘲笑じみた自虐か。
何が愉快いわけでもないのに、ゆうるり弧を描く唇はまるで三日月。
宵闇に混ざり行く自分の姿を見下ろしては、その目元に黒衣を移し。]
はは…、――うん。……解ってた。
[伏せる瞼に合わせる様に、また自分もひとつ。瞬きを。
三日月の口元とは相対して、眉は情けなく泣いて居たけれど、俯く花にも、自分にも、それはきっと分からない。
ただ虚しさを帯びてきりきり悲鳴を押し堪えるこころを服上から抑えたのなら、秋風を肺に送り込んで。]
(110) 2014/09/18(Thu) 01時頃