私の花を見付けてくれるの?私の噺を聴きたいの?
私もあなたの御土産話が聴きたいの。
この手を取らなければ、あなたは待つ私の元にプレゼントを持って来てくれるの?
それもそれで悪くは無いわ、だって、未知なることを知らずに箱の中で永久に暮らせるのですもの。
でも箱入り娘は望んで無いの。たまにはウェンディのように空を飛んで見ることも大切ね。
そう!だから、つまり。
私は、あなたと共に、夢に浸ってみようかしら。
[詰まる距離は恐怖さえ連れ。目前に揺らぐフードの奥、その奥の闇が学生はひどく恐ろしい。自分を呑みに来て居るようで、その笑みがウソツキのようで。彼がピノキオだったら良いのに、そんな幻想さえ抱き始めたことには柔らかな痛憤を。
それでも誘い言葉>>92に心は挫け、手は震えを取り戻し始めてはどうしようも無いと、心中を悟られないように声の色調は変えずにそう、自分を正当化する答えを歌い始めます。まるで夜の空に無い羽根で羽ばたいた彼女のように、鞄を片手に、耳蓋を重ねて居た手を開いては空に浮かばせ笑いました。
もう踵は下がることは無し。学生は、その足を、ひとつ前へと、踏み出しました。]
(110) 2014/10/01(Wed) 18時頃