そうして投げた小石は、"卵"に当たったか、否か。当たらずとも構わない、"元より当てるつもりなどありはしない"。
"卵"が、その小石を受けない為に。避けるなり、もう一振りの剣で撃ち落とすなり、或いはその本を使うなり、或いは未だ存在している筈の捕縛生物≪バンダースナッチ≫に命じるなり。
何かしら、少しでも。気を取られてくれればそれで良かった――例えこの手から、石が投げられる事が無かろうとも。]
――……本当に。
私の"能力"とやらは、攻撃力に欠けるものだな……!
[毒吐きながら、そのすぐ後に。咥えた水煙管から思い切り煙を吸えば、僅かに肺に入った煙にむせ込みながら、嘔吐きそうになるのを堪えて一気に吐き出す。
先とは違う、もうもうと立ち込めるその煙は、正しく煙らしく"卵"と"挿絵の怪物≪ジャバウォック≫"の周りへとまとわりつくように。]
(107) 2015/06/25(Thu) 01時半頃