[手を握る彼が彼自身を殴りたいなんて考えもつかない。>>98
未だ自分に触れているままの手を見つめる目は、どこか火種を見る時のものと似ていた。]
嫌なことがあったらいつでも言ってね。嫌われたくないんだ。
ああ、今のはホッとしただけだよ。
[何かを気にした風のヤニクに手を振り、大丈夫だよと伝える。溜め息を吐いたのが嫌気を刺したように見えたのかと訂正を入れておいた。もう少し時間が経ったら理由を聞いてみようか。]
んー。でもその妖精の気持ちも分かるかなあ。
だってヤニクさんの髪は短いけど真っ白で綺麗だし、桜色も似合うんじゃないかなって僕は思うよ。
[忌々しげに簪を弄る辺り余程腹にでも据えかねたのだろうか。
彼の髪に触らない代わりに自分の髪をちょいちょいと引っ張る。白い髪は褐色の肌にも、赤いフードにもよく映えていた。
桜の話に笑い、楽しい話が聞けるかと思っていたのだが。]
した……っ!?えええ、なんっ、あうっ…!
[さらりと告げられた爆弾発言に怯えて手を掴もうとしたが、急に触られるのは苦手だったことを思い出し伸ばしかけた手を止める。しかし怖さは消えずにあわあわと狼狽え、両目にはうっすら涙が滲みかけていた。]
(106) 2014/05/11(Sun) 21時頃