―食堂―
[中庭から貰った鼻唄を連れながら、見えたのは「食堂」の目印。足を踏み入れた瞬間、料理の香りが一際強く漂う。すぅっと、ゆっくり息を吸い込んで、吐く。
唐突に背後の廊下、それも結構遠方の方から、食堂の談笑に太鼓のような音>>74が聞こえた。鼻唄を止め、弾かれたように振り返る。
リズムの無いそれは…誰かが苦しんでいる音だろうか。]
………コリーン、ミッシェル、オスカー…シーシャ……
[…誰だろう。
名前を覚えているうち、激情を持ち合わせている人を声に出して復唱した。もし会えたのなら、話でも聞いてみようか。
すぐには向かわない。
男にとっては喧騒さえも愛しい日常だったから。
ようやく食堂に足を踏み入れて、カウンター横の砂糖とミルクを右手の袖の中に入れる。
皿に乗った料理とコーヒーを同じ手に持って手頃な席を探し始めた。]
(105) 2014/09/04(Thu) 00時半頃