[……"鼠小僧"。
確かに最近よく聞く名前だ。それに……そう。今朝届いた手紙の差出人が、そんな名前ではなかったろうか]
鼠小僧が実在すると?
……ふ、そんな馬鹿な。
[嘲笑めいた吐息を零し、ただその存在を否定する。嗚呼、けれど。次いで彼女が出した封筒>>101には、流石に表情を変えた。
知らず白衣のポケット……自分が受け取った手紙へと手を伸ばしながら、困った様に話す彼女の言葉を何処か遠くに聞く。
その手紙にはきっと、この手紙と同じ事が書かれているのだろう。心の何処かで、そう確信して]
……今までがどうかは知りませんが……、
僕の処にも、来ましたよ、その手紙。
――何を盗まれたか、思い出してごらん?、と。
["随分巫山戯た物言いだ"、なんて。苦く顔を歪めながら、髪を梳く彼女へと手紙を晒した。
耳飾りの事など薬師は知らないから、当然指摘する事も出来ず。取り出した手紙を勘定場の上に置き、それを僅かに彼女の方へと]
(104) 2015/01/21(Wed) 19時頃