―床彼ミューズホール―
……ああ、ホントに床彼町なんだ。
[移動した先のステージ、床彼ミューズホールには見覚えがあった。
いや、何度も中に入ったことさえある。
最近では、ギリシア悲劇の「アガメムノーン」の公演を観にいったのだったか。
ああ、そういえば、専攻はギリシア文学と英文学と、どちらにしよう――いや、今はそんなことを考えている場合ではない]
あれは――……、
[高い天井とシャンデリアも眩い、広いステージの上。
その中央に佇んでいるのは、剣士セシル。
正統派の剣士キャラだが――戦いになるとするなら、あまり有り難くない相手だった。
何しろ、セシルの得物は大剣であるので、沙耶の刀ではリーチで幾分か劣るのだ。
気付かれていないようなら、こっそりと別ステージにこのまま移動するのも手だろうかと、客席に身を隠して勘案する]
(101) 2013/06/30(Sun) 00時頃