[後ろに倒れるよう転がり、さらに左手に衝撃が走る。
呻く道化の左手は緑の爪が赤に深く埋まっていた。無意識のうち指を引き抜こうとしたのか、痙攣するように指が震え――]
あ、 ああ……ぃ っ゛あ゛あ゛!!
[更に肉を抉る動きに、零れそうなほど目を見開く。それは花々がざわめくようにしか見えないだろうが、悲鳴は聞こえるだろう。
道化は立ち上がる、血を踏みしめる足もふらつくが。唇を噛み締めるようにして前に飛び出した。
再び相手が腕を振るうなら、危うくも避けるだろう。助走をつけて飛び上がり、降り立つ先は青黒い肩。
赤い体液も緑の毒液も垂れ流す左手、その混じり合った液を目玉に擦り付けようと。幻覚でも一時的な失明でもいい、逃げる時間を稼ぐためには。
後ろから攻撃の手が迫るようで、時間がなかった。左手を振るった結果など確かめないまま、更に跳躍する]
(100) 2011/10/21(Fri) 22時半頃