― 幕間 ―
[さて、自分が振るう分の斧を取りに行った時か、手を洗いに行った時か。ふと覗いた囲炉裏端。目当ての姿を見かければ、懐から取り出したのは、昨日約束した、丞の手には小さすぎる短刀。
いくら研いでも、それはただの刀に過ぎぬ。
不思議な力など持ちようがないし、己を守るかどうかは、結局は己の腕次第。
だから、渡す時に言えるのは、一言]
死ぬも生きるも勝手だが
せっかくだ、 使う時が来たら、迷わず振るえよ。
……ま、あんたにはいらぬ言葉だろうが
[勝手にするだろうよ、と薄い唇を曲げるような笑い方をして、差し出した。死ぬも、生きるも、結局決めるのは他人なのだろう。そしてこの村では、死んだあとですら己の意のままにはならないものだ。
なにせ、たとえば死んだ愛理や櫻子が、生まれ変わりたいと思っているかなんて、誰も知らないのだから**]
(99) 2017/11/28(Tue) 00時頃