――……私は薄情な子供です。
お母様が亡くなったというのに。
私は今、私がこれからどうなってしまうのかが今一番不安なのです。
そして、ハンスの仕事はいつも以上に完璧だったのに、
私の未熟な言動のせいでミスター・ブローリン、……、
貴方の弟に秘密を気づかれてしまったかもしれません。
[気づかれたと断言はできない。
だけど彼には何かを見透かされていたような気がしてそれが漠然と恐ろしかった]
ごめんなさい。
私は娘としても、王女としても、…………。
[呟くのは懺悔。それが途切れる。
泣きはしなかったが、寧ろ母が死んでいるのに涙すら出ないのもおかしいのかもしれない。
上品な笑い方は徹底的に躾けられたが、泣き方は誰も教えてくれなかった。泣くほど悲しいことなど無い、妹が死んでも替えが用意された、とても幸せな人生だったのだから]
(97) 2012/01/15(Sun) 01時頃