[>>67そうしてまた、話題は鼠小僧へと戻るのだから ころころ変わる話題に面喰らいつつ、流れた髪を押さえた。
不安げな声は初めて聞いた気もするのだから、軽率に茶化す訳にも行かずに。
文面を見ずとも反芻できる手紙の内容を思い返しては、僅かに思考する。]
その文が本物なら、忘れちまってるってえ話だろ。
だけど そうだな、あたしは……、
[そこで、一息。
心当たりは、有るとも 無いとも言えない。
思い返すのは、“彼に盗めぬ物は無い” と、自身も唄ったその文句。
事実、手持ちの品は、何一つ失くしてはいなかった。
――となれば。]
“声” 、…かね。
近頃 喉の調子が悪いの悪くないのって、堪ったもんじゃない。
[時折調子の悪くなる喉へ手の平で触れつつ、薄々感じ続けていた違和感を、独自の見解で語る。
今も完全に失くした訳ではないのだから、そしてどうした事か 今のところは唄を唄う事に支障はないのだから、“盗まれた” と云うのは語弊がある気もしたけれど。]
(81) 2015/01/23(Fri) 00時半頃