[>>65以前から良く笑う女だとは思っていたものの 今日は殊更、随分と楽しそうだ、と。
釣られて笑いを零す自分に言えた事ではないのだろうけれど、此方の方が余程 興が乗ると 一つおまけに三味線で切り捨ててみせる。
――惜しむらくは、ここ数日 どうにも喉の調子が悪い事。
年甲斐も無い戯れを誤魔化すように、“良い歳した姉さんが何やってんのさ” と、呆れ目化して吐いた声は しかし 酷くすらすらと紡がれた。]
顔で人間を判じてるようじゃあ、まだまだだよ、姉さん。
[愉快げな反応にも、悪い気はしない。
最後にひとつ、解ったような口を利いてみせたところで 彼女の纏う雰囲気が変わった事を知る。
表情や細かな動きまでは感じ取れずとも、―― “当たり” か と、直感めいて胸中で嘆息し。
叶ったならば、未だ内容を知らぬ手紙に書かれた文字も読み上げては貰えるだろうかと、声を掛けただろう。
>>66そうして 手の内を見せていると云うのに、気まぐれじみた接触が続けられる事には 此方の拍子が抜けたのだけれど。]
(79) 2015/01/23(Fri) 00時半頃