―――…。
[俺のことを見ているやつなんか、誰もいない。
みんな目の前の相手の"仲良し"に夢中で
俺のことなんか気にしちゃいない。]
……そうだよな。
[思わず自嘲的になって、教室を抜け出そうとした時、
何処行くんだ?って、掛けられたクラスメイト男子の声。呼んでもらえた。うれしい。内心すごくうれしい。だけど、相手にとってはなんてことのない言葉なんだろう。]
……いや、便所だよ。
[短く告げて教室を後にする。
ああ、友達とも言えない人間の言葉に一喜一憂するなんて。]
ばかみてぇ。
[先輩たちに構ってもらえて、さくらの名前を持った同クラや、突然現れた先輩にジュースなんか奢って、隣の席のやつにフルネーム覚えられてて、道まで案内してもらえて。
すげーうれしかった。けど。それって相手にとっては、なんてことのない、日常のただの一コマなんじゃないか。]
(79) 2015/04/15(Wed) 20時頃