>野望
官はその出生から「人の自由意志」というものを、深く感じないまま生きてきた。故に、彼にとって「自由意志を持つ」ということは、尊きものである。
「護るべき最初の民」と決めた幼馴染のクロエが、何かを隠しているかのように歌う事。また、彼女自身が怪異を信じていないように見える事が、
「神森を、内に思いを隠さず、己の居場所を選べる場所にすること」という野望を抱いたきっかけである。
彼自身が抱いた野望には、「自由になった彼女の歌を聞く」という他者への投資が隠れている。
その野望を叶える為にも、「神」となる事を望んでいる。
非常に優れた素質を持つグロリアの存在により、信仰を早く集めなくてはならなくなり、横暴を布く事で「畏れ」という形の人の信仰を集めようとした。
その一方で、「畏れ」に対して人が立ち向かえる存在である事も理解している。
「荒神」として討たれれば、人の世に居れなくなる可能性もある。それを視野に入れた上で、自分の野望が叶い、クロエの歌を聞き、自分の治める地の者がそれを選んだのなら、それはそれで構わないとして行動している。
(76) bou 2019/05/11(Sat) 18時半頃