[真実は恐ろしい、と>>63。彼の口から伝えられずとも、充分に知らされてはいたか。
否、理解った気になっていただけかも知れないのだけれど。
耐えきれぬ飢えに唆されて一線を越える気持ちも。
温度の残る肉が喉を通る、その感覚も。
自分は何も知らずに――そしてそれを、糾弾しているのだから。]
――泣いて、ません。
[逸らさぬままの瞳を揺らした答えは、説得力には欠けていたかもしれないけれど。繕えぬ言葉も感情も、今更のこと。
幾度も向けられたその視線に、まるで見透かされているようだと。そう思った記憶も新しい。]
……え、
[重ねられた手が外されれば、本能めいて身を引きかけはするけれど。
ごく緩く、まるで縋るような腕の力を、振り払うことはできずに。
同じく告白された名前>>67を、単調な頭に巡らせながら――その後に続いたか。
薄くなった紫煙が、天井近くで揺らいで消える。]
(69) 2015/08/27(Thu) 00時半頃