[城門を潜り私は森へと入ります。
薄暗い木々には獣が住んでいるのでしょうか。
不気味さを感じながらも私は前へ前へと進みます。
後ろを振り返る事はありませんでした。
振り返ってしまえば、また囚われてしまいそうだったのです。
どれだけの時間を歩いたでしょう。
森を抜けて私はとある屋敷に辿りつきます。
此処に住んでいた夫婦は娘が消えたのを哀しんで
遠い場所に移り住んだのだと噂で聞きました。
此処は私の生家。懐かしい我が家。
思い出の庭園へと私は足を運びます。
メアリーが時折世話をして呉れていたのでしょうか。
その庭園には記憶の中と同じ白い薔薇が咲き誇っていました]
――…サイモン、メアリー。
此処ならゆっくりと眠れるかしら。
[大事にしまっていた二つの袋を取り出して
私は二人に問い掛け二人の為のお墓を作ります]
(68) helmut 2010/06/26(Sat) 22時半頃