―森の中―
[森の中に目を凝らしても、トニーが見えるものは何も見えない。不思議そうに首を傾げながら、イアンはぽつりと呟く。]
……なるほど。
森の中には、「御使い様」以外にも、不思議な力をお持ちの方がいらっしゃるということですか。ミッシェルさんのペンダント然り。
ねえ、トニー……ああ、聞こえなかったら私の独り言で構いませんが。
ここの村の方々は、私の住んでいる場所にはない、不思議なお力を持っている方が多いみたいですね。村の外に出れば「オカルト」と言われてしまいそうな類の力が。
なんというか、こう……それこそが「御使い様の護り」のようにも、少しだけ、感じられるんです。秘密の森に護られた力というものが、村の皆様に与えられた恩恵なのかな……って。
……あ、すみません。
少し小難しい話だったかもしれませんね。おまけに喋っている内容も支離滅裂ですし。
[それからいくばくかの話をして、トニーの横顔に「ありがとう」と告げると、イアンはトニーの側を*離れた*]
(68) 2010/08/09(Mon) 08時頃