― 応接室 ―
[挨拶の順番はどういったものだったか。
自分の番となれば、静かに立ち上がる。再び深く頭を下げれば、揺れる金糸。]
……ディーン=エゼルレッドと申します。
歳は21、今はペンブルックシアの王立学院に通っています。
[此処までは用意していた挨拶なのだが、其処から先は全く考えていなくて。
一度瞬き、視線を彷徨わせて。焦りに身を任せれば、勝手に言葉は口から零れる。]
……えぇと、……緑のとても綺麗な場所です。
もし、ペンブルックシアに立ち寄る事がありましたら、是非ご一報ください。
あの、……多少の案内でしたらば、できると思います、ので……
[言葉尻は消え入る様に。―――何故自分は今、自分の紹介ではなくペンブルックシアの紹介をしているのだ、と。
ぎゅ、ときつく握りしめた上着の裾。
か、と昇った血が耳まで回っているのが自分でもわかって、以上です、と、小さな声で告げれば腰を下ろした。]
(66) 2012/01/10(Tue) 01時半頃