[とにかく酸素の美味さを噛み締めているところに、口枷を外されても口を閉じることはできない。と、至上の空気を奪おうと男の唇が被さる。ぷん、と鼻まで突き抜けていく香の馨り。]
ふっ……んー、んんーーっ
[重なるのは蟲ではなく、破瓜の悲鳴と嬌声を閉じ込めるイアンのそれ。ぎりぎりと頬に力を入れられずとも、噛む気はない。それどころか、おずおずと舌を差し出しそっと絡める。それも、呼吸の余裕がなくなれば、苦行でしかないのだけれど。ひちゃり、唾液の弾ける音、それを飲み下すと男の香に全身が支配される錯覚を覚えた。
そして、突きつけられる選択。]
……後者で、いい。僕 ゲホッ、 は……
[彼女なら、無碍に自分を傷つける真似はしないだろうと、どこか信頼も込めて。]
大丈夫、だから。自分の心配をしなよ。
[丸裸のNo.4に向かって、強がりの笑みを浮かべる。]
(60) 2010/04/09(Fri) 15時半頃