[手元のワインより、歓喜による酔いの方が強いようだった。
まぁ確かに”苦味を消し”て、”お祭り気分”にさせるのがパセリの役目ではあるけどね。
こんな皮肉なことがあるかい?最初に芽吹いたことを呪ってしまうよ。]
―――もしもし。
そちらのサナトリウムで現在、患者の受け入れは可能ですか…。
えぇ、はい、そうです。勿忘草病です。大至急手配して欲しいのですが。
担当医の…スティーブン先生、ですね。
よろしくお願いいたします。
…あぁ、すみません。発症者は、僕自身です。
いえ、容体は悪くないのですが、早く安定した環境に身を置きたい。
色々と、やりたいことがあるのです。
条件を統一しなければ良いデータが…
[電話越しに話していたのは、行き先と定めたサナトリウムの医師のようだ。
たぶん、優しい人。そんな声が、受話器から漏れていた。]*
(56) 2014/09/07(Sun) 23時頃