[お偉いさんがもみ消しても、完全に人の口に戸は立てられないという事だ。匿名掲示板、SNS…黒い噂は何処からか流れ、奇異の目に晒される。
入学早々、遠巻きに見る女子生徒達の陰口が響き、うっすらと期待を帯びた男子生徒の視線を浴びていた。]
(…まぁ、別に間違ってないし。)
[幼い頃、ボクの家は貧しかった。
ママが言うには、パパは何処かのお貴族様で、身分差があり結婚できず、秘密裏に産んだそうだ。周囲に猛反対されて支援も無いけれど、お金には変えられない、それは夢のような恋だったとか…
――莫迦莫迦しい。
何処かのホラ吹き男に騙されたのだろうと思った。二人の間に産まれたボクは、度々女の子に間違われる中性的な美形で、人形のようにスタイルも良かったから、容姿だけは良かったのだろう。
だから、小学生の時にスカウトされモデルの仕事を始めた。子供ながら家計が苦しい事を知っていたから、悪い大人の誘いに乗った。色付けされたお金を渡したら、母はとても悲しそうな顔をして…それから徐々に体調が悪くなって…
現在、ボクは独りぼっちだ。]
(54) 2019/04/27(Sat) 13時半頃