[掴んだ袖>>49からじわりと滲む冷たさに、思わず眉を寄せる。
カーディガンとシャツとに阻まれて、その最下層にあるはずの体温は伝わってはこない。おまえの中身は冷え切ってでもいるのかと、あり得ないはずの思考は否定しきれずに。
自ら引くような動きに合わせて、不快にすら思える冷たさの上から、その腕を握り込んだ。]
………あ、
[自分が悪いのか>>50、と。
諦めたようなか細い声に、思わず言葉を詰めた。必死で責任を押し付けようと動いていた口は、そのまま緩く結ばれる。
動かないことに却って違和感を覚える表情からは、変わらず何も読み取れないままで。]
……違う、
[咄嗟に落とした言葉は、口にしてから後悔した。思考なんて、まるで役に立ちやしない。
――全てただの責任逃れだと。ひたすらエゴを、自己満足を押し付けて、そうして縛り付けたのは、他ならぬ兄である自分だと。
自分ですら理解しているのだから、散々それを 拒絶してきた弟が、気付かぬ筈がないだろうに。
望むまま、願ったまま、"可哀想な子供"に仕立て上げられた弟は、それこそ自分の望んだ存在のはずだった、――けれど。]
(51) 2014/07/05(Sat) 01時頃