-船着き場-
[見送りの人とあいさつを交わしていると、その中に一つの影を見つけ、走り寄る。]
ミナカタ先生。来てくれたのね、ありがとう。
[彼とは最後にもう一度話しておきたかった。ちょうどよかったと安堵していると、手渡されたのは一つのブランケット。]
…そう、ジリヤの。ありがとう、励みになるわ。
[ぎゅっと握りしめる。
これを絶対に彼女に返して見せると、決心を新たにする。]
そういえば、あなたには、前もセーターを貸してもらったわね。
[思い出すのはあの騒動。
少しずつ人々の記憶から過去のものにありつつあるが、当事者たちにとってはまだ風化するには…少し遠い。
同時に、彼に伝えておきたかったことを思いだす。少し躊躇うが、やがて思い切ったように顔をあげると、彼の耳を口元に寄せる。]
…最後に言っておくわ。私ね、トレイルのことがずっと好きだったのよ。
(40) rito 2013/12/28(Sat) 22時半頃