[乗り込んでくるものと降りていくものと、男はそれぞれの顔を眺めてはいたが、興味があるようにも見えない。展望車両にも客の姿はあったが既に確認した顔だ。
近付いてくる小さな足音は、男の耳にも届いた。二本足のリズムではないその音は、少なからず興味を引いたようで]
飴? ありがとう、いただくよ。
[渡された緑色の飴をそのまま口に放り、同じ色の頭が見えてそちらへ視線を動かす。
小さなガラス瓶はほかの乗客に飴を配りにその小さな足音を立てていく]
星を見るのは好きだよ。でも、趣味の範疇かな。
[尋ねられた声に緩く首を傾けて、それから視線を外へと向けた]
外、というと、この列車の外というわけではなさそうだね。
宇宙にというなら、慣れないうちは目新しいものばかりだから、面白いものと言ってもいい。
外に出るのは初めて?
[最後だけは、緑髪の方を見て尋ねた]
(37) 2014/05/12(Mon) 15時頃