[棚を確かめていれば、店に入ってくる一人の男>>34が目に入る。銀の髪は一瞬自分と同じ異人かと思うが、顔の造りを見るにどうやら違うらしい。
声をかけられまじまじとその顔を見れば、いつだかに見た顔だと気付く。とはいえ相手は客だ。態々こんな分かりにくい店まで出向いてくれたのだから、応対しないのも失礼というものだろう。
……例に漏れず、愛想良くは出来ないが]
山帰来。……ええ、ありますよ。
[相手の探し求める薬を聞けば、思い浮かぶのは梅毒とかいう厄介な病。
近くに遊郭がある事から、もしや遊女にでも引っかかって移されたのだろうかと考えるが、肌を見るにその症状もない。どちらにせよ、あまり長居はして欲しくない客だ。……万が一にでも、移されたら堪らない]
……梅毒でしたら、水銀を混ぜた粉薬もあります。
量を間違えると、副作用が酷いですが。
[客の望む薬と、その横にもう一つ。"どちらになさいます?"なんて言いながら、客の方を見る。
どうせどんな薬を処方しても完治などしない。どちらを選んでも、変わりはしないだろうけれど]
(37) 2015/01/20(Tue) 13時半頃