― 回想・続き ―
……ごめん……
[ >>27 それしか言えなかった。
ぼんやりと、思う。もし、自分が「お兄さん」として生まれなかったのなら……と。こーこの存在を否定するのでなく、ただ、純粋に「どう生きていただろう」と考えた。
けれど、考えられない。こーこが自分を「おにいちゃん」と呼ばない人生が、そもそも思いつかない。
でも、もし、自分以外の誰かが「おにいちゃん」だったのなら……こういう時、ちゃんと「おにいちゃん」でいたのだろうか。
そもそも、今、この時にこーこが望んでいるのは、「おにいちゃん」の慰めや励ましなのだろうか……? ]
……ごめんな……
[ 答えは出ない。……けれど、その「ごめん」は、意味合いが違った。
「兄になりきれない自分を許して欲しい」と懇願するように……ゆっくりと、枷にも近い「兄」としての自分を脱ぎ捨てていく。 ]
ありがとう、こーこ
[ 本当は、分かっていた。
目の前の相手が、自分で思うよりずっと色々考えて、大人になってきたことを。それを寂しく思っていたのが、ほかならない自分だったということを。 *]
(34) 2018/11/19(Mon) 22時頃