ーー ある日の夜:診療所 ーー
[以前より体格がマシになった、ぼんやりとしているのを見なくなった、何より働いてる姿が生き生きとしている。
誰にも助けを求めない本人に何も言えずにいた島の大人達も、密かにそんなトレイルの変化に安堵していたが
彼らは知らない少し困った癖ー或いは習慣と呼ぶべきだろうかーを青年は持ってしまっていた]
……
[静まりかえった診療所、お兄ちゃんの胸元に頭をつけてじっと目を閉じ鼓動の音を聞く
毎日のように行われる儀式めいた行為を相手はどう思ってることかちょっと怖くもある、けれど身体を寄せ大切な存在が生きていることを確認するのが今の自分には必要なことで
この音を聞き続けられる限り、俺は]
……生きてる
俺もお兄ちゃんも、生きてるんだね。
……結構悪くないものだね、誰かと生きるのもさ
[きっと生きていられる。もう死にたいと独りで膝を抱えたりなんかしない
顔を上げないまま呟いて、微笑んだ*]
(34) Tael 2013/12/28(Sat) 01時半頃