[少し思い出話をするならば、
この爺は、この町で生まれ、育った。
兄は3歳上で、なんでもできる器用者であったが、ティモシー自身は、どうにも手先はおぼつかないわ、頭は回らないわ、日がなぼんやりただ鼻水を垂らしているような弟だっただろう。
その時、幼なじみというには少し小さな妹のような近所の娘がいた。
兄は彼女をアンジェリカときちんと呼び、レディのように扱ったが、自分は兄よりは少し年が近いのもあって、ジェリーと呼び、少しだけ悪戯をいつもしていたように思う。
港はその頃は今よりも小さかったが、自分たちが年頃になる頃にはかなりの大きさになっていた。
やがて、港につく船に兄が乗って旅立つのを見送ったが、
その時、ジェリーがどう思っていたかわからない。
頭も悪く、ただ、もくもくと真面目に働くことしか取り柄がなかった自分は、綺麗なジェリーをただ、知り合いとしてみていただけだ]
(33) 2013/12/20(Fri) 20時半頃