― 遺体安置所 ―
[公女の返事を聞けば女は一礼をして遺体安置所へと足を運んだ。余計な音が一切入らない部屋。
自身が探していたムパムスピを含め、大切な友人を含めれば見知った顔が数体あった。]
こんなはずでは…
[冷たく横たわる神父。厩務員の少年。自軍の上官。物資補給管理者。参謀者。父の面影を照らしていた上官。そして友人―――
物言わぬ彼らを見つめ、同時に頬を伝わる自身の涙。]
ヴェスパタイン副団長はなんで私をおいて行くのですか?!
剣術の指導をしてくれるとおっしゃってくれたではないですか…?!
私はまだ教わっておりません。
それに…私はあなたにまだきちんと謝って…いな…ぃ。
ペラジー…痛かったよね。首だもんね…
ごめんね。守ってあげられなくて…ごめんね。
[涙の跡が見られる友人の頬に触り、自身のハンカチで優しく拭った。人がいようと関係ない。女は抑えていたものが溢れ膝から崩れて、次第に声は嗚咽へと変わった。
全員の死因を聞けば女の声は枯れるまで泣いた。]
(31) 2011/07/05(Tue) 00時頃