― 幕間 ―
[最終の内装点検が終わった翌日から本格的な引っ越しが始まった。通りへ面した窓には事務所名がレタリングされ、ずっと薄暗かった空テナントは夜遅くまで明かりを零すようになる。
電話回線を繋げた日には、向こう三軒両隣へ足を運んだ。無論、お隣さんとなるうさぎのレストランへも。
ちょっとした霜降り椎茸のお菓子を手土産に、店長さんへもご挨拶。
落ち着いたら寄らせてください。なんてのは社交辞令ではなく本音。昼も夜も外に出てることの方が多いけれど、午前中ならまだ融通も利く。
そこで閃いて、あぁ。と手を打ち。]
そう言えばお伺いしようと思ったのですが、
軽食のテイクアウトは出来ますか?
―――…ご無理は言いませんが、先日からね。
胃袋が私に囁くんです、駄目もとで聞け!って。
[店長さんには少し畏まった敬語を使う癖、物言いは世間話の其れ。]
(27) 2019/11/23(Sat) 14時頃