―公園―
[薄い木を何枚か重ね張られた長椅子に腰掛けること少し。
ザワザワと揺れる木々の音、揺れる花の匂いにすんと鼻を動かしながら男は微睡んでいた。
花といえば思い出すのは大通りにひっそりと存在する箱庭>>8
科学技術や教養などに定評のある“ヘイオトロープ”は小国ながらも厳重な檻の中に閉ざされている。
その様が何故だかあの田舎じみた柔らかな雰囲気の花屋に酷似しているようにかねがね男は感じていた。
てんで違うものであるとも同時に思ってもいたのだが。
だがそれを会話のネタにしては何度か訪れてプレゼント選びに足を運びもしたっけ。]
でも、それも行く必要は無くなりそうだ。どうしようか。一人で行ってもなかなか寂しいじゃあないか。
[首を傾げながら男は小さく唸る。すると、目元がじわじわとだが熱を発していることにようやっと気付く。]
(25) 2014/10/01(Wed) 03時頃