人狼議事

191 忘却の箱


【人】 露店巡り シーシャ

─少し前・彼と花と青年と─


あ────、あ、ァ、──────ッ!!!!

[叫ぶ。さけぶ。目の前の光景に。撒き散らすような芳香に。けれど喉はただひゅうひゅうと鳴って、声になんか成らない。ぼたぼたと落ちる雫だけが、無性に熱かった。

厭だ。いやだ。助けて。治して。センセイ、お願い。いやなんだ。こんなの。こんなのは、もう。
肺に吸い込んだ空気は、それすら花の香りに侵されて。力の抜けた身体を支えながら、気が触れたみたいに泣き叫んだ。

傍に、医師は居ただろうか。よく覚えていない。
誰かが誰かを呼ぶ声。ばたばたと騒がしい人の足音。勝手に震える肩を、強い力で掴まれた気がする。思い切り振り払うと、直ぐに後ろから羽交い締めにされた。

何人かに抱え込まれて、そこに居た彼の姿が、温度が、引き剥がされる。それが怖くて、どうしようもなく哀しくて、駄々を捏ねるみたいに暴れて──伸ばしたその手に。ざわりと、走る違和感。]

(25) 2014/09/07(Sun) 04時頃

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