―森の奥―
[ヴェラは、目の前の状況を、熱く、そして一方では冷静に受け止めていた。
先ほど、天の裁きの如く降り落ちた雷撃の元の場所>>13。
イアンとツェツィーリヤを取り込んだこの場所に、氷の魔物が舞い降りている。
イアン。お前はまっすぐなヤツだったからな。
蘇るのは、魔物と化したイアンの言葉。
最初に再会した場所で、ヴェラの命を奪わなかったことを、「何でダと思う?」>>3:41と問いかけた声。
あの時は、迷うな、と、過った疑念を振り払ったけれど>>3:66。
彼は口での駆け引きなんて、得意としているヤツじゃない。
単純なことだ。それだけの理由ではなかったのかもしれないが。
イアンは、『対象』と目されていた存在ではなかった>>3:55のだろう。
そうであれば、能力をよく知りつくした相手を、あの場で見逃したりはしない]
(21) 2013/06/19(Wed) 20時半頃