…最初は外から、いっぱい、急に、咲いて、散って…
それから、中身に、ぱさぱさ…咲いたの、かな。
もうその時の事なんて、覚えてないのですけ……あ、あ、あっ!
[どこかふらふらとした言い回しを感嘆に変えたのは、突然『湧き出た』角砂糖。
只でさえ大きな目が更に見開き、左の袖から右の魔法へと吸い寄せられる。]
……えー…!?
[彼の叩いた辺りの机面をそうっと撫でた太い指。
手の甲には古傷が走っているが、手の振る舞いはまるで老成した雰囲気は無い。
何事も無かった様に、澄ましている様に見える顔でコーヒーを啜る相席の男。
…ぽかんとしたまま、皿の上のパンの立方体を見やる。1つ指で押してみる。平らに潰れる。]
…手品、です?
[何となく、此方もパンの立方体で真似てみようにも。逃げ惑う蟻の様にころころするだけで。
とりあえずマグに3つ突っ込む、という最終過程のみ真似る。スープの中でふやけるパン。
暫くはその魔法使いの右手を眺める。
…最終的に左袖に視線は戻り、例の問いかけをされるのだけれど。]
(17) 2014/09/05(Fri) 01時半頃