―村はずれ―
はあ…
[歩き疲れ、適当な岩に腰掛ける。
来るときは龍の背中に乗ってひと飛びだったが、帰りは自力で帰らねばならない。
しかし、なにせ初めて来る場所だ。
飛びながらカルヴィンが村の景色を説明してくれたとはいえ、やはり地上から見るのとでは違う。
とりあえず飛んできたのとは逆の方向に向かって歩けば、村にたどり着けるだろうと、しばらく進んでみたものの、建物らしきものが見える気配がない。
こんなとき、いつも一緒だったカルヴィンも今は眠っている。
普段は強がっていても、頼れるものが居ないと思うと、急に心細くなる。]
ん?あれは…
[途方に暮れるトニーの目に飛び込んできたのは、昨日ピエールの店で話した老人の姿だった。>>15]
おーい、じいちゃーん!
[村までどのくらいの距離があるのかはわからないが、ひとまず見知った顔に会えただけでも心強い。
藁にもすがる思いで、その老人に手を振った。]**
(16) 2013/11/28(Thu) 19時頃