[要るもの、要らないもの。それらを分けながら整理していけば、向こうに持っていく物は然程残らなかった。
それらを鞄に詰め、最後に入れるのは、"大切な物"を入れた箱。そうすれば、帰り支度は全て終いだ。
ほんの少しざわめく心のまま、鞄を肩に掛けようとする。けれど、戸を叩く音>>8に気付けば、ちらりとそちらを向いて。
丁度良い。客をあしらうついでに此処を出よう、なんて考えながら、荷物を持って戸の方へと]
すみません。
暫くお休みを頂こうと思って……、
[戸を開けてその向こうに居た人物を見れば、出た言葉は小さくなって消えていく。
……嗚呼、どうやら未だ、帰るわけにはいかなそうだ。先に約束を果たさなければ]
……いえ、何でもありません。
どうぞ中へ。
[相手の何やら浮かない顔には気付いていたけれど、それを指摘する程お人好しではない。
戸の横に荷物を置いたまま、奥へと導いて。以前と同じように椅子を勧めれば、彼は座ってくれただろうか]
(15) 製菓 2015/01/29(Thu) 11時頃