― 騒動から1日 / 伍区 ・ 茶屋前 ―
[どんなに街が 浮世離れした空気に包まれていたところで、生きるのを忘れて酔い痴れることなど出来やしない。
今日もまた、商店街へ足を向ける。
適当な茶屋の前で 断りもないまま、茣蓙を広げて 腰を降ろして。
三味線を取り出しても、呼び込みを掛ける看板娘から咎められることもない。
これはまたやりやすいと、小さく笑みを浮かべた。]
さァさ、皆大好き鼠小僧。
ちっとでも興味あんなら、その脚止めて 聞いてきな。
[・・・べん!
高らかに弦を弾いて、音に乗せるのは義賊を讃える唄。
今、この時、この場所で演じたのなら、それはそれは “ウケ” も良いだろうと 踏んでのことだったけれど。
そのお陰で、やはり。前日の手紙も――そして今、懐に収められた、未だ読めぬままの手紙も 思考から離れてくれそうにない。>>#0]
(13) 2015/01/22(Thu) 02時半頃