[それは彼女が医者だからだろうか、それとも自分の様子は目に見えておかしいのだろうか。
血の気の引いた真白な顔で男はぼんやりそんなことを考える。]
……少し気分が。
[華奢で小柄な女に身体を支えられた。
もしかするとそれが彼女でなければ、男は嫌悪を目と向け、そしてそれは態度にも現れていたかもしれない。
彼女が医者であると思うからか、男は素直に支えられていた。彼女もまた”ここ”にいたのだというのに。]
少々……ショックが大きくて。
[それが例え淡い恋心であったとしても、想いを寄せた人がこんなことをしているなんて思いもしなし、あまりにも男にとっては理解しがたく異質すぎた。
。
そんな風に受け答えはできているが、相変わらず足元はおぼつかず、まるで眩暈のように世界が揺れている。
だからきっと男は千早に支えられ導かれるままになっていただろう。*]
(11) 2022/06/28(Tue) 23時頃