マコ!マコ――――――!!!!!!!ッ!!!
[遠い昔、胸に秘め人知れず想い続けた人妻、羽沢夫人の遺した子供たちのうち、少女の方だ。幼い眞子だったのだ。人ならざる怪人サイモーンの姿と化した男に、肩がけに背負われて今まさに消えようとしていた意識を失った眞子のうなじに醜くへばりついているのは水狼獣ハイドロリュコス。禍々しく蠢いているのがおぞましく、黒木の皮肉めいた顔に焦燥が走る。]
クソッ!てめえら、どけ!どけって!
俺は譲司と眞子を護る約束があるんだ!!
[怒りと焦燥に駆られた黒木は冷静を欠いた。変身前とはいえ全力で人垣を押しのけ始めたのだ。ウルフマンが実際に人を押しのけ傷つけるのを目の当たりにした人々は、ますます敵意をむき出しにしていく]
眞子!譲司!!――…眞子!!譲司!!!
[石で殴られ、女のツメで引っ掻かれ、それらを無視して突き進む黒木。人の輪からやっと出られた時、目の前でサイモーンに抱かれ眞子は人狼殿へと消えた。それを監督するように門前に居たのは]
(9) 2011/12/20(Tue) 02時頃