あー、マジか。聴いたことねぇのか。
[上手に言葉が紡げなくなるのは、何も木屋だけにではないのだが。気恥ずかしいとかそんな部類の言葉は、茶化すか口ごもるかのどちらか。そんな想いは、音の方がちゃんと伝えられる気がする。]
俺の家に来て……とかは、木屋の性格とかだと無理そげだな。
あれだ、俺、ぜってぇ有名なピアニストになるからさ。
リサイタルする時は花萌と一緒に来いよ。
感動で咽び鳴かせてやっから。
[だから、それまでに元気になれよ……とかは、言えない。
ただ、少し眼を細めて、先程よりは柔らかに笑ってみせた。]
ん。じゃあ、愛すべき後輩の元へ花つけて貰いに行くか。
木屋は、まじで、無理はすんな。
[先程、応えなかった変わりのように、花萌に聴こえるように「愛すべき後輩」部分を強調して、木屋の傍を離れた。その後は花萌が、ばっちしかっこよく見えるように造花を胸に飾ってくれる予定*]
(6) 2011/02/27(Sun) 01時半頃