―教会―
[長い夜が明けようとしている。月は沈みかけ、空が白んでいく]
や、御帰りなさい。
[チャールズとイワンが戻って来た頃、既に教会への吸血鬼の襲撃は収束していた。しかしその爪痕は大きく、建物は至る所が崩れ、無残な屍が転がっている。まるで十年前の事件を思わせるように。
男は"普段と変わりのない"様子で、穏やかに二人を出迎えた。黒いフードを被ったままだが、両眼が赤いことに二人が気づいたかは分からない]
――――…って、あらら。凄い怪我。
手当の道具を持ってくるから、其処で休んでいてくださいな。
[にこりと笑うと言葉通り、救急箱とタオル、お湯の張った桶を持ってきた。抵抗が無ければ、そのまま二人を処置しようとするだろう。もっとも救護は専門ではないので、気休めにしかならないかもしれないが]
お疲れでしょう。何か食べます?
[問いかける声は、惨状に比して暢気に響いたかもしれない。司祭のことも、ガーディのことも、眼のことも、問われない限りは此方から何か言うことはない]
(4) 2015/01/21(Wed) 20時頃