─ 魔女の屋根の上・前日夜 ─
前に話したけど……おれ、使い魔なんだ。
だから当然、仕えてる悪魔がいるんだ。
悪魔と契約してるから、おれは、魔界とこっちの世界とを自由に行き来することが出来るし、いつでも好きなように、こうやって人の姿をとることができる。
けど、悪魔との契約がなくなったら、おれはロクな魔力もない、ただのちっぽけな妖魔になっちゃう。
そうしたら、自力じゃ魔界とこっちとの行き来ができなくなるんだ。
それで……もし、こっちに留まることを選んだら、おれは多分、昼間は人間の姿になれないし、月のない夜も多分無理だ。
[手段がないわけではないけれど……と、小さく付け加えながら、グレッグの様子を窺って。
それから、金色の瞳を伏せて]
うん……。
[グレッグの背に腕を回し、ぎゅっと、抱きしめ返した。]
(+17) 2014/10/28(Tue) 19時半頃