219 FESを強いられし非戦場
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……そっか。
[その言葉は、受け入れる、かのように。 ほつりと、こぼれた。]
ちょっと、やだなぁ。
[例えば。 この体制から、矢を一極集中エリアスに撃ちこめば。 黒い猟犬シリウスを、けしかければ。 巨嘴烏に呑み込ませてしまえば。 すべての力を注いで、蠍の尾で一突きすれば。 そんなことを、いくつも考えつく自分が嫌だった。]
(7) 2015/03/27(Fri) 01時半頃
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[もしも、先生がこのまま騎士の力を振るってくれれば。 ――――それは責任転嫁だ。]
(8) 2015/03/27(Fri) 01時半頃
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[やらなくちゃ。 ゆっくりと、エリアスの背で絡めていた指先を、開く。 星の力を得るために、伸ばす。]
……きゃっ!?
[自分が事をなすより前に、動いたのはエリアスの方だった。 軽い痛みと衝撃。長針に刺し殺されるより随分と軽い。 背中が再び屋上に叩きつけられて、突き飛ばされたのだと知った。]
(9) 2015/03/27(Fri) 01時半頃
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[そして、その屋上すら、程なくして墜ちる。 一面の黒。闇。夜。 時の因果の巻き戻りにか、それとも空間の変異にか反応して、星魔女の髪先は空間に融けるように星空を描く。]
"結界を壊さなければ滅びる"――――
[今は、生きている。手を握る、開く、生きている。 まだ、これでも滅びていないというのなら。 狙うべきがどこかは、明白だった。 今逃れたばかりの、彼を手に掛けるという責が、再び目の前に現れた。]
(10) 2015/03/27(Fri) 02時頃
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……っ!? だめ!!
[ただ、それを考える暇は与えられず。 魔法陣から、周囲の空間から、闇から、攻性をもった針が、一点を狙って奔走る。 標的は自分ではなかった。時計塔のあった位置に喚び戻された、物理教師の――上位種の騎士様へ、向かって。]
《エリダヌス》!!
[自分になら、《盾》を喚べばいい。 けれど今の位置から他を護るには、主を中心として展開する盾では叶わない。 それでは、針を止めることは出来ない。]
(11) 2015/03/27(Fri) 02時頃
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聖河エリダヌスの流れ 《フロウ・フロウ・サンクトゥス・エリダヌス》!!
[闇に手を延べ、凛と喚ぶ。 声に応えるのは、河。さあさあと、雲もない闇の中に雨が降る。 雨。しかしその他愛なくとも《星》の雨は、闇の漆黒に力を増し、僅かなりとも針の軌道を変え、願わくば打ち落とせと降り続く**]
(12) 2015/03/27(Fri) 02時頃
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[雨は、闇の針の上に降り続ける。 けして土砂降りではなく、ここに立つエリアスやフィリッパや自分もいたずらに濡らすことなく、ただ僅かでもフィリッパに向かう針たちの軌道を変えるために。
可能かどうか、自分でもわからない。 祈るように、手を組む。]
(13) 2015/03/28(Sat) 00時頃
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/* キャーフィリッパ先生ー! 素敵ー!
(-6) 2015/03/28(Sat) 00時半頃
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っ!
[それが何なのか、すぐに視認はできなかった。 小さなものをただ弾いただけ、にも見え。 指先から光弾を放ったようにも見えた。 それほどに小石の加速は凄まじく、光を帯びるそれがこちらに向かい来るのに――狙いが自分でないとわかっても――避けるように目を伏せた。]
(18) 2015/03/28(Sat) 00時半頃
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[圧倒的と、言う他なかった。 彼女はとうの昔にすべてを把握していて、迷いも躊躇いもなく、真っ直ぐにエリアスの胸を捉えて、貫いた。 こわごわ開けた目が、その瞬間を見た。 正確に、何分何秒を把握していたわけではない。 ただ、その時は来なかったのだと、知った。]
せんせ……
[一面の闇であるはずの世界は輝きに満ちていく。 "結界"は破壊されたのか、聞かなくても明確な答えが、目の前にある。 歪んだ時空線が元に戻り、 歪んだ悪意が浄化されて消え失せ。]
(23) 2015/03/28(Sat) 01時頃
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[そして落ちた懐中時計に、星魔女の頬を涙が伝った。]
(24) 2015/03/28(Sat) 01時頃
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["結界"は壊され、世界は護られた。 代わりに、大切な友も失われ、もう還らない**]
(25) 2015/03/28(Sat) 01時頃
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